フランスを代表する建築家ル・コルビュジエ(Le Corbusier)が妻のイヴォンヌとともに、1934年から1965年にかけてに住んでいたパリ郊外にあるアパートメント「ナンジェセール・エ・コリ通りのアパートメント」についての第5話です。
第5話は、「寝室 兼 バスルーム 」です。
もう1度、トレースしたプランから。
「寝室 兼 バスルーム」は、キッチンの反対側にあるダイニングに隣接する部屋で、この部屋がメインの寝室となります。
ダイニングと寝室との扉(建具)は、訳ありで、とても大きい扉となっています。
扉の吊元(イメージ①の扉右側)に隠し丁番が、5個も取り付けられ、この大きさの扉を支えているのがわかります(一般の扉では、2個ないし3個です)。
隠し丁番ではないですが、スライド丁番は第二次世界大戦後に旧西ドイツで開発されたという記事がありました。隠し丁番は竣工時に、まだ存在していない可能性があります。時代関係から、もしかしたら現在取り付けられている丁番は、公開前の修復で取り付けられたものかもしれません。
その扉の裏側(寝室側)は、なんと収納になっています。
扉は収納が付いている分、重くなっているので、床には擦った跡が。
収納は、正面からでなく、左横側から使えるように工夫がされています。
(ただし、扉を開いていると使いつらいかも)
一番上の棚の手前上部にラッチがついています。左側には丁番を取り付けていた跡があるので、上段にも扉がついていたのかもしれません。
(丁番跡が、上部に1か所という謎が残りますが…)
ダイニングから入って正面は、バルコニー側に小さな化粧台と、その奥に浴室があります。浴室手前には、ビデも。ビデ右側はリネン収納(使用は反対側から)となっています。窓近くには、暖房装置も。
奥の浴室には、小ぶりな浴槽が。建物の形状にあわせた傾斜天井に、窓が取り付いています。窓下の金物を回すことで、窓が開いて換気ができそうです。
ベッドは、寝室に入って右手にあります。
通常の2倍以上の高さのあるベッド。どうやってベッドの上に登ったのか。もしかしたらステップがあったのかもしれません。
ググってみると、パリの景色をベッドの上から眺められるようこの高さにしたのだとか。
写真左下にリネン庫の裏側が見えます。リネン庫の高さは低く、ベッドからの眺めを遮らないように、もしくは窓からの明かりをシャワールーム側に導き入れるためかもしれないですね。
ベッドからの見返すと、筒状のシャワールームと、その奥にトイレ用の手洗いが見えます。ベッド横の黄色い扉の先は不明ですが、収納なのか、PS(パイプスペース)の点検口なのか…
第5話は長くなってしまったため、続きは次回で、シャワールーム、トイレを巡ってみたいと思います。
第6話に続く。